~体づくりは食事から。妊娠しやすい体を育てる栄養学的アプローチ~
はじめに
不妊に悩むカップルは年々増加しており、現在では日本でも夫婦の約6組に1組が不妊に直面しているといわれています。不妊の原因はさまざまですが、その中でも「食生活」が体に与える影響は軽視できません。
本記事では、妊娠しやすい体を作るためにどのような食事を心がけるべきか、最新の研究や栄養学的視点を交えて解説します。
1. 食事がホルモンバランスに与える影響
妊娠には、女性・男性ともにホルモンバランスが重要です。特に女性においては、排卵や子宮内膜の厚さをコントロールする「エストロゲン」「プロゲステロン」などのホルモンが鍵を握っています。
脂質、特にトランス脂肪酸の過剰摂取はホルモンバランスを乱す原因の一つとされており、ファストフードや加工食品の摂取が多いと、排卵障害のリスクが上がるとする研究もあります。
2. 妊娠を助ける栄養素とは?
▶ 葉酸
妊娠前からの摂取が推奨されており、胎児の神経管閉鎖障害のリスクを下げることが知られています。緑黄色野菜、納豆、レバーに豊富に含まれます。
▶ ビタミンD
ホルモンの働きを助け、着床率の改善や妊娠維持に関与します。日光を浴びることでも合成されますが、魚やキノコ類からも摂取できます。
▶ 鉄分
妊娠中は特に鉄不足に陥りやすく、妊娠前からの備えが重要です。赤身の肉やひじき、大豆製品などから摂取を。
▶ オメガ3脂肪酸
魚の脂に多く含まれ、炎症を抑えホルモンの合成に関与。特に男性不妊にも効果があるとされます。
3.避けたい食習慣
以下の食習慣は、不妊リスクを高める可能性があるため注意が必要です。
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高GI食品(精製された白米、白パン、砂糖菓子など)の過剰摂取
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アルコールの多飲:女性の排卵機能や男性の精子数に悪影響
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カフェインの過剰摂取:一日あたり200mg未満が目安とされています
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極端なダイエットや偏った菜食:栄養バランスの崩れによるホルモン異常
4. 男性側の食事の重要性
男性の精子の質も、食事によって左右されます。精子の運動率や形態は、抗酸化物質(ビタミンC・E、亜鉛、セレン)によって守られます。
特に、加齢やストレス、喫煙などで酸化ストレスが増すと、DNA損傷のリスクも高まりやすいため、積極的な摂取がすすめられます。
5. 日常生活でできる改善ポイント
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朝食を抜かない:血糖値の安定はホルモンの安定に直結します
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自炊を増やす:添加物や過剰な脂質・糖質を避けることができます
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旬の食材を取り入れる:栄養価が高く、自然とバランスがとれます
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水分補給を忘れずに:脱水は子宮環境にも悪影響を与えます
おわりに
不妊の原因は一つではありませんが、日々の食事を見直すことは、妊娠力を高める第一歩です。サプリメントに頼る前に、まずは自然な食材から栄養をしっかりと摂取することを意識しましょう。
必要に応じて、婦人科や栄養士と相談しながら、自分に合った「妊娠しやすい体づくり」を進めていくことが大切です。