男性不妊の原因

2024年10月19日

男性不妊は、不妊症の原因の約50%を占め、夫婦が妊娠に至らない主な理由の一つです。男性不妊は精子の質や量、または射精機能に問題がある場合に起こり、さまざまな要因が関連しています。この記事では、男性不妊の主な原因について詳しく解説します。

 

1.精子に関連する問題

男性不妊の多くは、精子の質や量に関する問題が原因です。具体的には、精子の数、運動性、形態に異常がある場合が多く、不妊に繋がることがあります。

 

〇乏精子症(精子の数が少ない)

乏精子症は、精子の数が異常に少ない状態を指します。通常、1ミリリットルの精液中に1500万以上の精子が含まれると正常ですが、これを下回る場合、妊娠の可能性が低くなります。精子の数が少ないと、卵子にたどり着く精子が不足し、受精が難しくなるからです。

 

〇精子無力症(運動性が低い)

精子無力症は、精子の運動性が低いため、卵子に到達する力が不足している状態です。正常な精子は、直進して活発に泳ぐことで卵子にたどり着きますが、精子の運動性が低い場合、卵子まで到達できず、受精が難しくなります。

 

〇奇形精子症(精子の形態異常)

奇形精子症は、精子の形が異常である状態を指します。正常な精子は卵子に侵入しやすい形をしていますが、奇形の精子はその能力が低く、受精が困難になります。精子の頭部、尾部に異常がある場合、卵子に到達する能力が制限されることがあります。

 

〇無精子症(精子がない)

無精子症は、精液中に精子が全く存在しない状態を指し、男性不妊の最も深刻な原因の一つです。この状態では、精子が全く供給されないため、自然妊娠は不可能です。無精子症は、精子の生成や排出に関する異常によって引き起こされます。

 

2.精子の生成や機能に影響を与える要因

精子の生成や機能に影響を与える要因はさまざまで、環境要因や生活習慣、疾患、ホルモンバランスの乱れなどが影響を及ぼします。

 

〇精索静脈瘤

精索静脈瘤は、精巣内の血管が異常に膨張し、精巣周辺の温度が上昇することによって精子の生成が妨げられる状態です。精巣は精子を作るために低温を保つ必要がありますが、精索静脈瘤があると精巣の温度が高くなり、精子の数や質が低下する原因になります。この疾患は男性不妊の原因の中で最も一般的であり、全体の15~20%に見られるとされています。

 

〇性感染症や尿路感染症

過去の性感染症や尿路感染症も男性不妊の原因となります。性感染症は精巣や精管に炎症を引き起こし、精子の通過を妨げることがあります。また、感染による精巣へのダメージが精子の質や運動性に悪影響を与えることもあります。

 

〇ホルモン異常

ホルモンバランスの乱れは、精子の生成に大きな影響を与えます。特に、脳の下垂体から分泌される性腺刺激ホルモン(FSH、LH)や男性ホルモンであるテストステロンの不足が原因となり、精子の数や質が低下します。これらのホルモンの分泌異常は、精巣機能に直接影響を与え、精子の生成能力を損ないます。

 

〇 生活習慣

不規則な生活習慣や悪い生活習慣も男性不妊に影響を及ぼします。

 

  • 喫煙やアルコール: 喫煙や過度の飲酒は精子の質に悪影響を与え、精子数の減少や奇形精子の増加を引き起こします。
  • 肥満: 肥満はホルモンバランスに影響を与え、精子の生成を妨げます。特に、腹部肥満はテストステロン値を低下させるため、妊娠率が低下することがあります。
  • ストレス: 過剰なストレスもホルモンバランスを崩し、精子の質を低下させる原因となります。ストレスが精子生成を抑制し、性機能の低下にも繋がることがあります。
〇 精巣損傷や手術の影響

精巣に対する外傷や手術による損傷も、精子の生成や排出に悪影響を及ぼします。精巣自体の損傷や精管が傷つくと、精子が正常に排出されないことがあります。また、過去に受けた手術が精管にダメージを与え、不妊の原因となることもあります。

 

3. 遺伝的要因

遺伝的な異常も男性不妊の原因となることがあります。例えば、クラインフェルター症候群は男性の性染色体異常であり、通常はXYであるべき性染色体がXXYとなるため、精子の生成が著しく減少します。また、その他の染色体異常や遺伝子欠損が精子の生成や機能に影響を与えることがあります。

 

4.性機能障害

勃起不全(ED) 勃起不全(ED)は、性的興奮時に十分な勃起が得られない状態で、妊娠に必要な性交が行えないことがあります。心理的な要因や血管の問題、神経障害などが原因となり、勃起不全が発生します。

 

逆行性射精 逆行性射精は、射精時に精液が体外に出ず、膀胱に逆流してしまう状態です。このため、精子が女性の体内に到達せず、妊娠が難しくなります。糖尿病や前立腺手術後の合併症として発症することが多いです。

 

まとめ

男性不妊の原因は、精子の質や量に関連する問題、生活習慣、遺伝的要因、性機能障害など多岐にわたります。適切な診断と治療を受けることで、多くのケースで不妊の原因を改善し、妊娠の可能性を高めることができます。男性不妊に悩む場合は、早期に専門医に相談し、必要な検査を受けることが重要です。また、生活習慣の見直しやストレス管理も、改善に向けた重要なステップとなります。

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